R.J.パラシオ作、「Wonder」 を読んでツラツラと。

https://www.amazon.co.jp/Wonder-R-J-Palacio/dp/0552565970

洋書ですが、児童書なので難しい単語かあまりなく読みやすかったです。なにより面白いし!

※私の英語読解力はそんな高くないので、内容に誤りがある可能性がなきにしもあらず。

あらかじめご了承いただき、少しでも気になった方はぜひ原作をご一読ください。てへ

■あらすじ
オーギーことオーガストスターウォーズが大好きで、ユーモアに溢れた普通の10歳の男の子。でも一つだけ違ったのは、彼が顔に障害をもって生まれてきたこと。
ジロジロと見られたり、「感染菌だ」とイジワルされたりして、顔を長い前髪で隠していたオーギー。
愛に溢れた両親とお姉ちゃんのヴィアと飼い犬のデイジーのいる我が家で、学校に行かずホームスクーリングをしている。
オーギーが10歳になった年、両親は彼を初めて学校へ通わせようと促す。
そこでオーギーに起こる様々な出来事が、パートごとにオーギー自身や、姉、姉の彼氏、オーギーの友達など、様々な視点から描かれます。

■感想とか

あったかくて、ユーモアがあって勇気をもらえる作品でした!
オーギーと関わる何人かの異なる視点から物語が進んでいくことで、安直に「オーギーVS偏見を抱く人々」という単純な対立構図になっていないところに凄く好き。
「偏見を抱く人」が登場する他方、その人物は「誰かに偏見や誤解を抱かれてしまった人」として登場し、読者はそれぞれにそれぞれの物語があるんだということをしみじみ感じることができます。
結局は分かり合えないこともあるかもしれないけれど、それでも「彼にもまた物語があるのだろう」ということを「知っている」と知らないとでは、世界の見え方が違う。

 

■「普通」ということと「親切」

オーギーは主人公で、顔に障害があるという面を持っています。でも各パートに登場するオーギーの周囲の人々もそれぞれに課題やモヤモヤを抱えている姿が描かれます。

 

Kinder than is necessary. Because it's not enough to be kind. One should be kinder than needed.

 

作中で校長が語る言葉です。特別なことをするわけじゃなく、ただ自分が思っているよりもう少し誰かに親切にしてみよう。

オーギーだけじゃなく様々な人の物語を見せていくことで、とってもシンプルな言葉が重さを持っていきます。この話の言いたいことってとにかくそういうことなんだろうなと思います。

 

■好きなシーン

学校で最悪な仕打ちを受けて打ちのめされたオーギーは姉であるヴィアに「学校はやめる」と告げるんだけど、その時のヴィアの言葉。
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“誰だって学校が嫌になることあるわよ!私だって時々学校なんか最悪だって思う。友達なんか最悪だ、大っ嫌いだってなるときだってあるわ!
でもそんなものよ、オーギー。(It’s just a life.)
あんた「普通の子になりたい」って言ってたよね?これが「普通」なの!
私達は最低最悪な日だって学校には行かなきゃならないの!!”
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ヴィアの中にも色々なものが積もった上での遠慮ないこのセリフが好きです。守りたいけど、甘えるなとも言いたい。傷つかないように嫌ならもちろん辞めてもいいけど、なんとなくそれじゃダメな気もする。

結局正解はないけれど、オーギーにはこのヴィアの言葉が刺さったようです。

 

ラストの方での校長(名前がMr.Tushmanという笑。オーギーが学校に行っても良いかもと思ったきっかけの一つ笑)とオーギーとのやり取り。

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(「自分を動物に置き換えて自画像を描く」という授業の課題で、アヒルに自分を置き換えたオーギー。
その絵が校長室に飾られているのを見つけたオーギーと、Mr.Tushmanとの会話)

オーガスト、君が自分をアヒルに置き換えたのは…うーん、あのアヒルの子のことを示唆しているということだよね、あの最後に…白鳥になる。”


”ううん” 僕は首を振った
“僕ってアヒルに似てるなって思ったからです”


ミスター・タッシュマンは目を見開いて、そして笑い出した。


“そう!そうか…うーむ。この絵に僕は象徴的なものやメタファーを探し出そうとしていたけど……んんん。アヒルがただアヒルだという時もあるということか!”

 

“そうだと思います"


僕はなんでそれがそんなにおかしいんだか、正直わからなかった。
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余計な情報のせいで、時々物事に対して必要以上に難しく考えてしまうことを笑い飛ばしているようでとても好きなシーンです。

 

「誰かに、今よりもう少し親切にしてみよう」、誰かにも誰かなりの物語があるということに、思いを巡らせよう。シンプルだけど、いつも思い出したいストーリー。

 

映画にもなっているようで!日本公開はあるのかなあ。

 

Kinder than is necessary. Because it's not enough to be kind. One should be kinder than needed.